くまあつブログ

Yearly Archives: 2014

臥薪嘗胆の思いでの判断

Filed under 熊田あつし

私、熊田あつしは、2003年の総選挙に出馬して以降今日まで、
大阪1区から4度の総選挙に立候補してまいりました。
そして、今回の総選挙への出馬準備も滞りなくすすめてまいりましたが、
この度、第47回衆議院議員総選挙への立候補は見送ることといたしました。
 
今回の選挙戦の準備にご尽力くださった皆様には心からお詫び申し上げます。
 
私は、前回総選挙での落選以降、大阪での地元活動に加え、ライフワークである
エネルギー政策や外交・安全保障問題を学ぶため、米国政府招聘の研修プログラムによる渡米や、
モスクワの大学への短期留学を重ねてまいりました。
また、国内においては、普天間や辺野古など沖縄の基地問題の現場を訪ね歩き、
さらにはTPPによる農業への影響を考えるために十勝平野の農業関係者のもとを
かたっぱしから訪問したりもしました。

このような活動により、政治の場へ復帰し、もう一度仕事をさせていただきたいという
思いをあらためて強くもつようになってくると同時に、これまでより広い視野で
物事を考えさせていただくようにもなってまいりました。
 
そんな折に、今回の衆議院解散がなされました。

これまでの私であれば、一も二もなく、無所属のままでも出馬をしていたことは間違いありません。
しかし、少し離れた場所から現場目線で現在の政局を見、選挙戦を戦うことと同時に
その先にある政策実現について考える時間を持たせていただいた結果、
現在の自分のおかれた環境のまま総選挙に出馬する事は、自らの思いを貫くことには直結しないと
判断するに至りました。
 
ただ、今回の総選挙への出馬は見送るという判断をいたしましたが、
暮らしを守るための政治を実現していかなければならないとの思いは微動だにしておりません。
また、今後の政治活動も、これまで同様行って参る所存でおります。
 
この限られた文面の中では、十分に意を伝えさせていただくことは叶わないかもしれませんが、
何卒この度の判断にご理解を賜りますようお願い申し上げます。
また、今後もさまざまな機会を通じご説明をさせていただくこともお約束させていただきます。

力不足をお詫びすると同時に、今後の活動へのご指導・ご鞭撻を賜りますことをお願いし、
この度のご報告とさせていただきます。

前衆議院議員 熊田篤嗣

クリミア情勢への私見

Filed under 熊田あつし

結論から書くと、今回のプーチン大統領による「クリミア編入表明」には
驚きました。

個人的には、現時点では、クリミアの独立は容認しつつ、編入のカードは
温存すると思っていたからです。一度編入を表明した以上、欧米がどんな圧力を
かけ、どんな論理を述べようが、プーチン大統領は後戻りができない状況になった
のではないでしょうか。言いかえれば、そんなことをわかった上での今回の表明は
それほどの決意を持ってのことだろうと感じました。

そもそも、住民投票による独立宣言は、有効なのか、無効なのか。
まず、そこに触れたいと思います。

1999年の東ティモール、2006年のモンテネグロ、2011年の南スーダンは、
いずれも住民投票を経て独立を宣言し、国際連合加盟を果たしています。
世界は、これらの国々の住民投票による独立を承認したのです。
根拠は、国連憲章第1条2項の「自決の原則」だとされています。
今後も、例えば今年の9月には、スコットランドで住民投票が予定をされています。
 
その一方で、欧米諸国は、今回のクリミアは認められないと言っています。
それは、ロシアの武力が介在し、民主的な住民投票ではないという理由です。

しかし、一皮むけば、これは国益をかけた権力闘争が繰り広げられる国際政治の
場での話です。実際のところは、それぞれに根拠を示しながらも、各国が自国の
国益にかなう場合は承認し、そうでない場合は承認しないというのが本音なのでは
ないかと思います。(とはいえ建前でも正当性は非常に重要ですから、どちらも
「国益をかけた権力闘争だ」とは言えないでしょうが。) 

東ティモール、モンテネグロ、南スーダンの場合は、所謂5大国が折り合いを
つけられる話しであったから、国連加盟まで至ったのだと思いますが、今回は違います。

ということを踏まえ、住民投票による独立宣言は有効か無効か、という点に
戻れば、一般論・建前論で言えば、条件を満たしているかどうかというところが
大きな要素となるということなのでしょう。

その上で今回の件に話しを戻せば、ロシアの立場を考えれば、国益にかなうであろう
クリミア独立承認までは予想できました。しかし、もう一歩進んで、ロシアへの
編入も表明するとなると、僕は、プーチンの信念ともいえる決意を感じました。

彼は、ベルリンの壁が崩壊した時に、KGBドレスデン支部に勤務し、ソ連を中心とした
東側世界の崩壊を目の当たりにし、その後、ソ連解体、NATOの東方伸長を
目の当たりにしてきました。今回のウクライナの件はその延長にあると考えたとすれば、
プーチンにとっては「攻め」ではなく「守り」の戦いであり、危機に瀕した祖国を
思う気持ちというものがそこから強烈に出てきているのではないかと推測できます。
このことは今回のプーチンの演説内容からも伝わってきます。

クリミア半島の軍事的な重要性ということに加え、このような背景からくる強烈な
愛国心が、プーチンの行動の根底にあるのではないかと思えてなりません。
ただ、だからといって、今回のロシアの判断を、短絡的に支持するものではありません。
 
一方で、日本は、世界の秩序や自決の原則を踏まえたうえで、日本の国益を最重要視して
行動すべきです。

中国が軍拡を進めている状況下での日米同盟の重要性やエネルギー問題など、
ポイントは何点かあると思いますが、今回は、特に一点問題提起をしたいと思います。

住民投票による独立を安易に認めてしまえば、例えば国後島・択捉島で同じことをすれば、
北方4島の独立やロシアに帰属していることの確認も、論理的には可能になるのではないか?

また、日本の国籍取得制度などとも関係してきますが、ある意図を持った国の出身者が
日本国籍を取得し、特定の島などの人口希薄地帯に集中的に居住して住民投票を行ったら
どうなるのか?
(ちなみに、中国籍から日本への帰化は、年間3000人から5000人程度で推移)。

日本国憲法前文にあるように、私たちは、「諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意」しているわけですが、生き馬の目を抜く
国際社会で、いかに日本の国益や領土を守るかということも、自らの責任として
考えていかなければなりません。

住民投票の有効性は、歴史的経緯、国際秩序、住民の資格等も考慮して判断して
いかなければならないということも、併せて主張すべきではないでしょうか。

今回のクリミアの住民投票の有効性は安易に判断できるものではありませんが、
何があっても祖国を守るためには圧力には屈しないというプーチンの態度からは
(くどいようですが、今回の「行動」ではなく「態度」です)、
国家を担う政治家の気迫を感じる思いがしました。

プーチン大統領の決意を考えれば、オバマ大統領もこれから相当の決意を
求められるでしょうし、両者の間に立たされる安倍総理も厳しい判断を求められる
ことが予想されます。

その時、単なる追従者になるのではなく、主体性を持った発信をしなければ、
また日本は存在感のないままに双方から信頼を得られない結果になってしまうでしょう。
 
今、日本が問われています。

集団的自衛権に関する基礎的な考察

Filed under 熊田あつし

昨今「集団的自衛権」に関する議論がよく見受けられますが、
いろんなところでお話ししていると、感覚的・感情的に論じている場合が
よくあるような気がしています。

そこで、自分としての整理もかねて、いくつかの文献を参照にしながら、
私なりに思う基本的な論点について簡単にまとめてみました。
かなり長くなってしまいましたが、ご容赦ください。

1.「集団安全保障」と「集団的自衛権」の違い

混同しがちですが、これは異なる概念です。
「集団安全保障」は、19世紀的な勢力均衡政策に代わる概念で、
国際連合に受け継がれています。締約国内において、平和に対する脅威が
発生すれば、他の締約国が全体で一体となって、この平和に対する脅威に対応します。
言ってみれば「内部の敵」に対する行動です。国連による集団安全保障は、
実質的には世界全体を対象にし、平和の脅威に対して、他の国々が一緒になって
対応することとなっています。

「集団的自衛権」は、典型的には同盟関係で、その同盟の外部からの脅威に
対して、同盟国が一緒になって対応するものです。すなわち「外部の敵」に対する
行動です。例えば、冷戦期のNATOやワルシャワ条約機構などがわかりやすいと思います。

2.「集団的自衛権」の根拠

日本も加盟している国際連合の、憲章第51条にあります。念のため、
全文記載します。但し、当然ですが、正文は日本語ではありません。

「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した
場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、
個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。
この自衛の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に
報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和
及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に
基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」
 
補足をすれば、安保理が措置をとるまでの間、安保理に報告することを前提に、
個別的及び集団的自衛の固有の権利を害さないということです。言い換えれば、
「集団安全保障」が機能するまでの間は、「集団的自衛権」を認めると読めるので、
「集団的自衛権」は「集団安全保障」の補完概念ととらえられているように思います。

3.「固有の」の意味

国連憲章51条をもう一度見ていただくと、集団的自衛権は、「固有」の権利
となっています。普通に読めば、これは「基本権」「自然権」として国家が当然に
もつものと読めます。
 
ちなみに、「固有」を大辞林で調べると、「本来備わっていること。」となっています。

広辞苑では、「天然に有すること。」「もとからあること。」となっています。

ただ、先ほども書きましたが、国連憲章の正文は日本語ではありません。
正文は、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語です。

そこで念のために正文も見てみました。(今回は、ロシア語、スペイン語、中国語
までは確認できませんでした、また時間あるときに調べてみます)

まず英文ですが、「the inherent right of individual or collective self-defense」
と書かれており、このinherentを辞書で調べると、「(物に)本来備わっている」
「(人に)生まれつきの」となっています。

また、フランス語では、「droit naturel」と書かれており、まさしく「自然の」権利
となっています。
 
4.現在の政府見解

平成16年6月18日 衆議院 政府答弁書 (内閣総理大臣小泉純一郎)

「集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、
自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当と
される権利と解されており、これは、我が国に対する武力攻撃に対処するものではなく、
他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とするものであるので、
国民の生命等が危険に直面している状況下で実力を行使する場合とは異なり、
憲法の中に我が国としての実力を行使することが許されるとする根拠を見いだし難く、
政府としては、その行使は憲法上ゆるされないと解してきたところである。」
 
ここでは、日本国政府としての「集団的自衛権の解釈」と、「憲法の中に、我が国が
実力を行使することが許される根拠がない」ということが書かれていると思います。
 
ということは、一般論としての集団的自衛権は、国家の基本権として否定はされていないと
読んでいいのだと思います。

5.日本国憲法における位置づけ

では、一般論ではなく、日本国は、集団的自衛権を保有するのでしょうか?
あらためて日本国憲法の全文を読んでみました。

先ほどの政府答弁書では、憲法の中に「行使」することが許される根拠がないと
ありました。そこで、集団的自衛権の「保有」について、政府答弁書の表現を借りながら
私としての理解を書けば、「憲法の中に我が国としての(集団的自衛権)保有を
許されないとする根拠を見いだし難く、その保有は憲法上否定することはできない」
という感じになるのではないかと思います。
わかりやすく言えば、「集団的自衛権を保有しているとするのは、憲法違反ではない」
ということではないでしょうか。
 
私は、学者ではありませんので、これらの論点を踏まえたうえで、政治家として
現在日本が置かれている、あるいはこれから置かれようとしている政治的な環境を踏まえ、
日本国及び国民の安全を守るためにどういった対応をすべきかということを
示していかなければならないと思っています。

また、この件に関しては、さまざまなご意見やご指摘もあると思います。
是非いろいろなお声をお聞かせください。よろしくお願いいたします。

ウクライナ情勢への私見

Filed under 熊田あつし

ウクライナ情勢が激動の真っ只中にあります。
先日来、FaceBookで書いてきた私見を、簡単にまとめました。

今回の発端となったキエフのデモは、僕が昨年モスクワに滞在している頃に
始まりましたが、その頃モスクワで間接的に聞いていた話では、正直なところ
ここまで事態が進展するとは思いませんでした。

しかし、2月18日からのデモ隊と治安部隊の衝突によって多数の死者が出たことから、
事態は収拾不可能なほどに悪化しました。
この衝突が起きた時期ですが、2月7日から23日まで開催されていたソチ五輪に
重なり、ロシアが行動をしばられている時期ですが、これは偶然なのでしょうか?

今回の事態からは話しがそれますが、少しさかのぼって2008年の南オセチア紛争を
振り返ってみると、グルジア軍とロシア軍の戦闘が始まったのは、8月7日でした。
これは、プーチン首相(当時)が北京オリンピックの開会式に出席しているタイミングです。
この時も、一方の当事国であるロシアが動きにくいタイミングで事態は急変しました。

この南オセチア紛争では、先にどちらの軍が仕掛けたかは双方主張が異なっているので、
その件にはふれません。ただ、紛争前からアメリカがグルジアに対し、
鉄道や装備の面で援助をしていたのは事実のようです。
グルジアは、アゼルバイジャンからトルコに至るパイプラインの中継地で、
ロシアやイランを経由せずに中東の原油を手に入れるために重要な地域だと
いうことが背景にあるのでしょう。

そして、今回のウクライナ情勢。
先にも書いた通り、またオリンピックの時期に大きな動きがおきました。
そして、その間、アメリカは、ソチでテロが起きた時の米国人救出の為と言うことですが、
フリゲート艦テーラーと揚陸指揮艦マウント・ホイットニーを黒海に派遣していました。
(もっとも、テーラーはトルコのサムスンで停泊中に座礁してしまっていましたが…)

考えすぎかもしれませんが、ウクライナは黒海に面しており、今回注目されている
クリミア半島こそがロシアの黒海艦隊の基地になっているところです。
いろいろと背景を考えてしまいます。

さらに付け加えれば、2月22日にヤヌコビッチ大統領が解任されたすぐ後の24日には、
アメリカ政府はバーンズ国務副長官がウクライナの首都キエフに25日から26日にかけて訪問し、
トゥルチノフ大統領代行と会談すると発表しています。
とっさの対応とは思えないほど手際がよいように感じてしまいます。

率直に言えば、私は、今回の事態の発端は、世界がオリンピックに注目している裏側で、
ロシアがオリンピックで動けないことも含めてその状況を利用しながら、
アメリカが強くしかけたことにあるように感じています。

旧東欧諸国やバルト三国までEUに加盟している現状で、兄弟国家とも言えるウクライナにまで
EUの東方拡大が及べば、事態が緊迫する事は当然です。
ロシアからすれば、特に、黒海艦隊の基地とロシア系住民の保護、ここは何があっても
譲れない一線でしょう。

ヤヌコビッチ大統領の政治が良かったかどうかの判断はここでは留保しますし、
民衆の力による政権打倒も否定するわけではありません。
しかし、ウクライナのトゥルチノフ大統領代行が、民主主義的な手続き、
すなわち選挙によって選ばれたのでないことは確かです。
東西で親欧派と親ロ派のわかれるウクライナで、今のままの政権が全土を掌握する
正当性をもてるはずはありません。
本来であれば、現体制は暫定的な選挙管理体制として、すみやかに民主主義的な
選挙を行なうべきでしょう。
しかし、国益をかけた駆け引きが行われる国際社会ではそのような単純なことには
ならないでしょう。
むしろアメリカは、この政権と対話を続け、既成事実を積み上げているようにしか
みえません。

これではロシアが態度を硬化させるのは当然です。

ただここで言いたい事は、しかけたアメリカが悪くて、今回はロシアに正当性が
あるということではありません。
先ほども書いたように、国際社会は、各国が国益をかけた権力闘争をしている場です。
善悪も大切ですが、その前にまずは現実を踏まえ、いかに日本の国益を守るかが
問われているのだということが言いたいのです。

アメリカは恐らく、同盟国である日本にも共同歩調を求めて来るでしょうが、
私は、エネルギー供給源の確保や領土問題を抱えるわが国としては、単純に歩調を
合わせるべきではないと考えます。
日本は、日米同盟を堅持しつつも、ロシアとの対話の窓口としての役割を果たす
道を目指すべきです。

その点は、日本以上にエネルギー供給源としてロシアに依存し、また経済的な
結びつきも強いドイツなども同じ課題を抱えるでしょうから、このあたりとの情報交換も
大切になるのではないでしょうか。
(ちなみに、ロシアからの天然ガスに依存する度合いは、EUは25%と、
日本の9.5%を大きく上回っています。)

今後、軍事的緊張に続き、米ロ間の経済戦、情報戦、外交戦が始まります。
日本外交の真価が問われる局面です。

管理用